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控訴人
株式会社明光ネットワーク九州
控訴人
株式会社明光義塾九州
控訴人
株式会社アネムホールディングス
控訴人ら訴訟代理人弁護士
斉藤芳朗
同
平田豊
同
熊谷善昭
同
恩穗井達也
同
池田早織
被控訴人
株式会社明光ネットワークジャパン
同訴訟代理人弁護士
柴崎晃一
同
有馬潤
同
斉藤正登
同
吉竹大樹
主文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決中、控訴人ら敗訴部分を取り消す。
2 前項の部分につき、被控訴人の本訴請求をいずれも棄却する。
3 控訴人株式会社明光ネットワーク九州と被控訴人との間において、控訴人株式会社明光ネットワーク九州が、被控訴人と控訴人株式会社明光ネットワーク九州及び控訴人株式会社明光義塾九州との間で締結された契約に係る平成26年6月12日付け「エリアフランチャイズ契約書」上の「エリアフランチャイズ権を付与する地域(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県及び山口県)のエリアフランチャイズ権を有する地位にあることを確認する。
4 控訴人株式会社明光義塾九州と被控訴人との間において、控訴人株式会社明光義塾九州が、被控訴人と控訴人株式会社明光ネットワーク九州及び控訴人株式会社明光義塾九州との間で締結された契約に係る平成26年6月12日付け「エリアフランチャイズ契約書」上の「エリアフランチャイズ権を付与する地域」(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県及び山口県)のフランチャイズ権を有する地位にあることを確認する。
5 被控訴人は、控訴人株式会社明光ネットワーク九州に対し、5億円及びうち1億円に対する令和4年4月21日から、うち4億円に対する令和6年4月18日から各支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
6 被控訴人は、控訴人株式会社明光義塾九州に対し、1200万円及びこれに対する令和4年4月21日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
7 訴訟費用は、第1、2審を通じ、本訴反訴とも被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要(略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。また、原判決中の「原告」、「被告」はそれぞれ「被控訴人」、「控訴人」に読み替える。)
1 被控訴人は、学習塾の経営、経営指導等を目的とする会社である。
控訴人株式会社明光ネットワーク九州(控訴人明光ネットワーク)は、被控訴人との間の、原判決別紙「本件契約の定め」に記載された内容を含むフランチャイズ契約(本件契約)に基づき、一定の地域(本件地域、すなわち福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県及び山口県)における「明光義塾」という名称の学習塾(明光義塾)のエリアフランチャイザーの地位にあった。
控訴人株式会社明光義塾九州(控訴人明光九州)は、被控訴人との本件契約に基づき、被控訴人のフランチャイジーとして、一定の範囲の教室で明光義塾を運営することのできる地位にあった。
控訴人アネムホールディングス(控訴人アネム)は、被控訴人に対し、控訴人明光ネットワークが本件契約に基づき被控訴人に対して負う債務を連帯して保証する旨約した。
2 本件本訴は、被控訴人が、控訴人らに対し、以下の請求をした事案である。
⑴ 控訴人らが、本件契約の解除後も、控訴人明光らの学習塾の経営に関し、原判決別紙控訴人標章目録記載の各標章(控訴人各標章)を使用し続け、原判決別紙商標目録記載の被控訴人の商標権(被控訴人各商標権)を侵害していると主張して、控訴人明光ネットワーク及び控訴人明光九州(控訴人明光ら)に対しては、商標法36条1項及び2項又は本件契約に基づき(これらの規定及び契約に基づく請求は選択的併合の関係にある。)、控訴人アネムに対しては、同条1項及び2項に基づき、次のアないしコの各請求をするもの。
ア 学習塾の運営及びフランチャイズ方式による学習塾の加盟店の募集、設立の指導及び助言、又は当該加盟店の経営の指導及び助言に関する役務の提供(学習塾の運営等に関する役務の提供)に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物品に控訴人各標章を付すことの差止請求(商標法2条3項3号)(原判決「事実及び理由」(以下、「事実及び理由」の記載を省略する。)第1の1⑴)
イ 学習塾の運営等に関する役務の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に控訴人各標章を付したものを用いてその役務を提供することの差止請求(商標法2条3項4号)(原判決第1の1⑵)
ウ 学習塾の運営等に関する役務の提供の用に供する物に控訴人各標章を付したものを役務の提供のために展示することの差止請求(商標法2条3項5号)(原判決第1の1⑶)
エ 電磁的方法により行う映像面を介した学習塾の運営等に関する役務の提供に当たり、その映像面に控訴人各標章を表示して役務を提供することの差止請求(商標法2条3項7号)(原判決第1の1⑷)
オ 学習塾の運営等に関する役務の提供に関する広告、価格表もしくは取引書類に控訴人各標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供することの差止請求(商標法2条3項8号)(原判決第1の1⑸)
カ 控訴人各標章を印刷物及び文房具類若しくはそれらの包装に付し、又は控訴人各標章を付した印刷物及び文房具類を販売し又は販売のために展示することの差止請求(商標法2条3項1号及び2号)(原判決第1の1⑹)
キ 印刷物及び文房具類に関する広告、価格表又は取引書類に控訴人各標章を付して展示し又は頒布することの差止請求(商標法2条3項8号)(原判決第1の1⑺)
ク 控訴人各標章を付した販促物、広告、価格表、取引書類、印刷物及び文房具類の廃棄請求(原判決第1の1⑻、⑾)
ケ 原判決別紙教室目録記載の教室内外にある正面看板、袖看板、可動式看板、オーダーボート及び垂れ幕に付されている控訴人各標章の抹消請求(原判決第1の1⑼)
コ 控訴人各標章の原判決別紙Webページ目録記載のインターネット上のウェブサイトその他の営業表示物件からの抹消請求(原判決第1の1⑽)
⑵ 控訴人明光らが、本件契約の解除後も、被控訴人商標3及び4と類似する商号を引き続き使用していると主張して、本件契約、商標法36条1項及び2項、会社法8条又は不正競争防止法(不競法)2条1項1号及び2号、3条1項及び2項に基づき(これらの規定及び契約に基づく各請求は選択的併合の関係にある。)、次のア及びイの各請求をするもの。
ア 控訴人明光ネットワークに対する、「株式会社明光ネットワーク九州」の商号の使用差止請求及び福岡法務局平成5年8月31日登記に係る商号変更登記(前商号から現商号「株式会社明光ネットワーク九州」に変更する旨の登記)の抹消登記手続請求(原判決第1の1⑿、原判決主文第13、14項)
イ 控訴人明光九州に対する、「株式会社明光義塾九州」の商号の使用差止請求並びに福岡法務局平成5年8月31日登記に係る商号変更登記(前商号「株式会社明光ネットワーク九州」から現商号「株式会社明光義塾九州」に変更する旨の登記)及び福岡法務局平成3年4月23日受付に係る控訴人明光九州の設立登記中「株式会社明光ネットワーク九州」の商号の抹消登記手続請求(原判決第1の1⑿、原判決主文第15、16項)
⑶ 控訴人明光九州が、本件契約の解除後も、被控訴人商標14と類似するドメイン名(v-meiko.co.jp。本件ドメイン名)を保有し、控訴人らが、本件ドメイン名を使用して、控訴人らの学習塾経営に関するウェブサイト(「http://www.v-meiko.co.jp/」をアドレスとするウェブサイト。本件ウェブサイト)を運営していると主張して、控訴人明光らに対しては、本件契約又は不競法2条1項19号、3条1項及び2項に基づき(これらの規定及び契約に基づく各請求は選択的併合の関係にある。)、控訴人アネムに対しては、不競法2条1項19号、3条1項及び2項に基づき、次のア及びイの各請求をするもの。
ア 控訴人らに対する「meiko」の文字を含むドメイン名の取得、保有又は使用の差止請求(原判決第1の1⑿、原判決主文第17項)
イ 控訴人明光九州に対する本件ドメイン名の登録抹消申請手続請求(原判決第1の1⑿、原判決主文第18項)
⑷ 控訴人らが、原判決別紙表示目録記載の各表示(本件各表示)を使用し、控訴人明光らが運営する学習塾が被控訴人の行う明光義塾ブランドの学習塾のフランチャイズ傘下であると誤認させたことは、不競法2条1項20号所定の不正競争に当たると主張して、控訴人らに対し、同法3条1項及び2項に基づき、その営業及び同営業の広告、取引に用いる書類及び通信に本件各表示をすることの差止め及び本件ウェブサイト上の本件各表示の削除請求をするもの。(原判決第1の1⑿、原判決主文第19、20項)
⑸ 控訴人明光ネットワークが、平成24年頃から、ロイヤルティ算定の基礎となるロイヤルティ対象売上を過少申告していたことによりロイヤルティの未払が発生していると主張して、控訴人明光ネットワークに対しては、主位的に本件契約に基づき、予備的に不法行為(民法709条)に基づき、控訴人アネムに対しては、主位的に、連帯保証契約に基づき、予備的に不法行為に基づき、連帯して、未払ロイヤルティ1494万9067円及びこれに対する約定支払日の後の日である令和3年1月26日から支払済みまで約定利率年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払請求をするもの。(原判決第1の1⒀)
⑹ 控訴人明光らが、本件契約の解除後も、学習塾の経営又は同経営への関与を続けており、同行為は被控訴人に対して負う競業避止義務に違反するとともに、被控訴人各商標権の侵害に当たるものであり、控訴人明光らの上記行為により被控訴人が損害を被ったと主張して、控訴人明光らに対しては、本件契約又は不法行為に基づき、控訴人アネムに対しては、連帯保証契約又は不法行為に基づき(これらの規定及び契約に基づく各請求は選択的併合の関係にある。)、連帯して、16億4878万3340円及びうち8760万0641円に対する訴状送達の日の翌日である令和3年8月28日から、うち15億6118万2699円に対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である令和5年12月15日から、各支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求をするもの。(原判決第1の1⒁)
⑺ 控訴人明光らが、本件契約の解除後は原判決別紙顧客目録記載の各顧客に係る氏名、住所、電話番号、FAX番号、電子メールアドレスその他の連絡時に使用可能な情報(本件顧客情報)の使用を中止する義務があるにもかかわらず、これを使用し続けていると主張して、控訴人明光らに対し、本件契約又は不競法3条1項及び2項に基づいて(これらの規定及び契約に基づく各請求は選択的併合の関係にある。)、本件顧客情報の使用の差止め及び本件顧客情報の記載された記録媒体の廃棄の各請求をするもの。(原判決第1の1⒂、⒃)
3 本件反訴は、控訴人明光らが、被控訴人に対し、本件契約の解除は無効であると主張して、控訴人明光らが本件契約に基づいてエリアフランチャイズ権又はフランチャイズ権を有することの地位確認を求めるとともに(原判決第1の2⑴、⑵)、本件契約の解除により控訴人明光らが損害を被ったと主張して、債務不履行又は不法行為に基づき、控訴人明光ネットワークが、被控訴人に対し、5億円(一部請求)及びうち1億円に対する反訴状送達の日の翌日である令和4年4月21日から、うち4億円に対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である令和6年4月18日から、各支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求め(原判決第1の2⑶)、控訴人明光九州が、被控訴人に対し、1200万円及び反訴状送達の日の翌日である令和4年4月21日から支払済みまで上記割合による遅延損害金の支払を求めた(原判決第1の2⑷)事案である。
4 原判決は、本件本訴につき、以下の⑴ないし⑺の限度で認容し、その余の本件本訴に係る被控訴人の請求をいずれも棄却し、本件反訴に係る控訴人明光らの請求をいずれも棄却した。
⑴ア 前記2⑴アないしケの請求のうち、控訴人明光らに対する商標法36条1項、2項に基づく請求(控訴人アネムに対する請求は棄却した。)(原判決主文第1ないし9項、第12項)
イ 前記2⑴コの請求のうち、①控訴人標章1ないし4、7、8、10ないし15の各標章については、控訴人明光らに対する請求(商標法36条1項、2項に基づく請求として認容。控訴人アネムに対する請求は棄却した。)(原判決主文第10項)、②控訴人標章5、6及び9については、控訴人らに対する請求(同条1項、2項に基づく請求として認容)(原判決主文第11項)
⑵ 前記2⑵の請求(商標法36条1項、2項に基づく請求として認容)(原判決主文第13ないし16項)
⑶ 前記2⑶の請求(不競法2条1項19号、3条1項、2項に基づく請求として認容)(原判決主文第17、18項)
⑷ 前記2⑷の請求(原判決主文第19、20項)
⑸ 前記2⑸の金銭請求(未払ロイヤルティの支払請求)のうち、①不法行為に基づき、控訴人明光ネットワークに対し、46万2373円及びこれに対する令和3年1月26日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める請求(原判決主文第21項)、及び②本件契約に基づき、控訴人明光ネットワーク及び控訴人アネムに対し、1018万7317円及びこれに対する同日から支払済みまで約定の年14.6パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める請求(原判決主文第22項)
⑹ 前記2⑹の金銭請求(競業避止義務違反及び商標権侵害による損害賠償請求)のうち、控訴人らに対し、3億4806万5219円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である令和5年12月15日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める請求(原判決主文第23項)
⑺ 前記2⑺の請求のうち、本件顧客情報の使用差止請求(本件契約に基づく請求として認容。本件顧客情報の廃棄請求は棄却した。)(原判決主文第24項)
5 控訴人らが、原判決のうち控訴人ら敗訴部分を不服として控訴した。被控訴人は、控訴も附帯控訴もしなかった。
6⑴ 前提事実及び争点は、次のとおり補正するほか、原判決第2の2及び3(12頁10行目から19頁12行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(以下、次のとおり補正の上で引用する原判決第2の2の前提事実を、単に「前提事実」という。)。
ア 原判決13頁16行目から同頁20行目まで(前提事実⑴キ)を次のとおり改める。
「キ 控訴人ら、e-sia及びVアカデミーは、いずれもAが代表取締役に就任している。また、控訴人ら、e-sia及びVアカデミーは、本店所在地が同一である。(甲59、202、弁論の全趣旨)」
イ 原判決第2の2⑶ウにおいて挙げられている原判決別紙「本件契約の定め」につき、同別紙中、原判決310頁7行目の後に改行して「本契約における用語の意味は、次のとおりとする。」を加え、同頁10行目の後に改行し「⑶ 『フランチャイズ権』とは、『明光義塾』の名称を使用して学習塾を経営する権利をいう。」を加える(これは、本件契約第2条の⑶の定義規定である。)。
⑵ 争点に対する当事者の主張は、後記7のとおり控訴人らの当審における補充主張を付加するほか、原判決19頁14行目で引用する原判決別紙「当事者の主張」(原判決322頁から395頁まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
7 当審における控訴人らの補充主張
⑴ ロイヤルティの過少申告及び未払の有無について
ア 本件においては、平成27年頃から控訴人明光九州の直営教室の売上げにつき、映像授業及び自習型講座(以下、これらを併せて「映像授業等」ということがある。)の対価がロイヤルティ算定の対象とならない「その他の売上げ」に計上されてロイヤルティが算定されていたことが、控訴人明光九州については「ロイヤルティの過少申告」として、控訴人明光ネットワークについては「ロイヤルティの過少申告及び未払」として、本件契約の解除事由に該当するかが争点となっている。これらは、本件契約の第43条各号所定の義務違反があった場合の解除事由として主張されているものであるから、これらが肯定されるためには、①映像授業等の対価がロイヤルティ算定の対象となる「月謝、増加授業料、講習料等」(本件契約第16条)に当たることだけでは足りず、②これに当たることを控訴人明光らが認識しながらあえてロイヤルティ算定の対象とならないその他の売上げに計上したことも認められる必要がある。
イ 映像授業等の対価がロイヤルティの対象であるかについて
(ア) そもそもフランチャイズ契約の本質は、商標等の使用許諾だけでなく、フランチャイザーからの情報提供及び経営指導にあるのであって、これらに対してフランチャイジーはロイヤルティを支払うのであるから、ロイヤルティの対象については、「明光義塾に係る商標等の使用の有無」のみではなく、「被控訴人からの情報提供及び経営指導の有無」も踏まえて判断されるべきである。
(イ) 被控訴人と控訴人明光らの関係は、平成元年、被控訴人が控訴人明光らの前身である株式会社西日本教育社との間で、九州地域における明光義塾のフランチャイジー募集の代理権を付与する代理店契約を締結したことに始まり、この代理店契約は、それまでに株式会社西日本教育社が開発したノウハウ及び同社が開拓したフランチャイジーに関する権益は同社に帰属させるべく、「明光ゼミナール」の屋号で既存のフランチャイズ教室を残し、その売上は全て同社が取得することとされるなど、フランチャイズ事業を一から開始するに当たって締結されるような一般的なフランチャイズ契約とは全く異なる特殊な内容であった。本件契約は、上記のように特殊な内容で始まり、約25年もの間展開されてきたフランチャイズ事業を前提として、整理されたものであって、そこでは、控訴人明光ネットワークは、単なるフランチャイジーではなく、被控訴人から「エリアフランチャイズ権」(第3条)を付与され、「エリアフランチャイズ本部の業務」(第5条)として広範な権利義務を設定されたエリアフランチャイザーとして位置付けられており、控訴人明光らは他のフランチャイジーと性格を異にする。
そして、本件各フランチャイジー(控訴人明光九州を除く本件地域のフランチャイジー)や控訴人明光九州が控訴人明光ネットワークに支払ったロイヤルティのうち、控訴人明光ネットワークから被控訴人に支払われるのは、その17.5パーセントにすぎず(本件契約第16条、第18条3項)、ロイヤルティの分配率は、被控訴人よりも控訴人明光ネットワークの方がはるかに高い。つまり、ロイヤルティの分配に当たっては、商標等の使用はさほど重視されておらず、本件地域における本件各フランチャイジーに対する情報提供・経営指導等の関与度の違いがより重視されている。
これによれば、被控訴人からの情報提供及び経営指導のない形態の授業の対価については、被控訴人の分配率はゼロにする(被控訴人及び控訴人明光らの間においては、ロイヤルティの対象としない)という扱いも不合理なものとはいえない。
(ウ) 控訴人明光らは、自身が導入した映像教材等について被控訴人からの情報提供・経営指導を受けておらず、むしろ、被控訴人が映像授業を導入するに際し、平成24年7月、8月に、被控訴人の取締役と被控訴人管轄の有力フランチャイジーが控訴人明光らを訪問して映像授業の様子を見学するなど、控訴人明光らから映像授業のノウハウの提供を受けている。
上記事情は、被控訴人及び控訴人明光らの間において、「映像授業は被控訴人及び控訴人明光らがそれぞれのノウハウにて独自に実施する」という共通認識があったこと、換言すると、被控訴人は、控訴人明光らに対して映像授業に関する情報提供・経営指導を行うこと及びそれに伴うロイヤルティの取得を放棄していたことを端的に示すものであり、これらの経緯を踏まえて、平成26年6月の本件契約締結時点で、被控訴人及び控訴人明光らにおいて「映像授業はロイヤルティ算定の対象にならない」と考えていたことが強く推認される。
(エ) 被控訴人は、控訴人明光らに対し本件改定案(ロイヤルティ算定の対象としての「増加授業料」の定義(第3条(12))について、「月謝の対象となる授業以外で別途増加した授業(自教室内で行う映像授業その他一切の授業を含む)に対する対価をいう」とし、ロイヤルティの算定対象(第33条)について「増加授業料(映像事業等、自教室内で行う一切の授業の対価を含む)」としたもの。甲78)を提示した令和2年2月より前に、映像授業等の対価がロイヤルティ算定の対象とされていないことを認識していたものと強く推認される。しかし、その後も被控訴人は、控訴人明光らに対し、未払分の履行の催告はもちろん、未払であることの注意、警告は一切行っていない。
また、本件解除通知(甲21)において、被控訴人は、控訴人明光ネットワークに対して13の解除事由を主張しているが、「ロイヤルティの過少申告」については、その末尾に置かれたのみである。
原判決が認定するように、「フランチャイジーにおいて最も中核的な義務であるロイヤルティ支払義務に係る過少申告及び未払」が発覚したのであれば、被控訴人は、直ちに、控訴人明光らに対し、未払であることの注意、警告を行うのが自然であり、解除事由としても第一に挙げるのが自然かつ合理的であるといえるが、被控訴人がこれらを行っていないということは、被控訴人は、映像授業等の対価がロイヤルティの算定の対象となるか否かについて、被控訴人と控訴人明光らとの間で認識の齟齬があることを認識し、かつ、被控訴人においてもロイヤルティ算定の対象となるとの確たる認識を持っていなかったことを示しているというべきである。
(オ) 上記(イ)ないし(エ)の諸事情に鑑みれば、「被控訴人からの情報提供及び経営指導のない映像授業等の対価についてはロイヤルティ算定の対象とならない」というのが本件契約の締結時点における当事者の認識であったと考えるべきである。
ウ 控訴人明光らの悪意について
原判決は、前記イのとおりである本件の事実経緯(本件契約における控訴人明光らの立場の特殊性や、被控訴人及び控訴人明光らにおける映像授業の導入の経緯等)を踏まえることも、特段の理由を示すこともなく、「映像授業や自習型講座に係る対価がロイヤルティ算定の対象となる月謝等であることは、被控訴人のフランチャイジーにおいて自明であったといえる。」と断定し、控訴人明光らの悪意を安易に認定した。
この点、①控訴人明光らが、平成26年には、映像授業等の対価をロイヤルティ算定として計上していたところ、平成27年からこれらをロイヤルティ算定の対象外に移行させた事実、及び②控訴人明光らが、本件各フランチャイジーに対し、控訴人明光九州と同様の取扱いをさせていなかった事実は認められる。
しかしながら、①は、映像授業等が試験的な導入段階から本格的な導入段階に移行したことに伴って、控訴人明光らとして改めて映像授業等の導入の経緯等を踏まえ、本件契約締結(平成26年6月12日)を機にその取扱いを見直したものであり、何ら不自然ではない。
また、②は、本件各フランチャイジーとの関係では、控訴人明光ネットワークは、映像授業等の導入に関する情報提供・経営指導を行っているのであるから、その対価としてロイヤルティ算定対象とすることに合理性はあり、控訴人明光ネットワークと一体になって映像授業等の開発・導入を行った控訴人明光九州と取扱いを異にすることは、不合理でない。
上記イのとおり、映像授業等の対価は、ロイヤルティの対象とならないと解されるものであるが、紛争の経緯からして、被控訴人においても、控訴人明光らのそのような認識を前提とした対応をしていることからすれば、控訴人明光らの悪意を否定することは何ら不自然ではない。
⑵ 生徒数の虚偽報告の有無について
ア 意図的に実態と異なる生徒数を報告したものでないこと
控訴人明光らが実際の生徒数よりも多くの生徒数を報告していたのは、原審段階から主張するとおり、グループ企業間での経費処理に関する便宜的な取扱いに伴う集計ミスであって、何ら意図的なものではない。
被控訴人に報告する生徒数を偽って増やしても、明光義塾内部の総会で表彰されるだけであって、控訴人明光らに何か具体的な利益が生じるわけではなく、他方で、生徒数を水増しすれば、その分被控訴人に対して支払うべきロイヤルティが増えて具体的な損失が生じるのであって、控訴人明光らが意図的に生徒数の水増しを行うことなどあり得ない。
イ 原判決の認定が著しく不当であること
原判決は、「虚偽の生徒数に基づいた表彰により薬院本校の知名度を上げ、その結果として、控訴人らを含むアネムグループは、e-siaにおいて開発した教室管理運営システム販売に関し、間接的な宣伝効果を享受していた」と認定した(45頁)。
しかし、控訴人明光らを含むアネムグループが、e-siaが開発した教室管理運営システムの販売に当たり、明光義塾総会において表彰を受けた事実を宣伝に利用したことは一度もない。また、当該教室管理運営システムは、座席や入退出、勤怠管理、売上管理等の教室運営の効率化のためのシステムであり、生徒数の増加に直接つながるものではない上に、薬院本校が表彰を受けたことで、当該システムの売上や販売数が増加した事実もない。原判決は、上記認定に関して何らの具体的な根拠も示していない。証拠によらず被控訴人の主張を鵜呑みにしただけの極めて杜撰な認定である。
さらに原判決は、「教室管理運営システム販売に関し、間接的な宣伝効果を享受していた」という極めて薄弱な根拠をもとに、「意図的かつ組織的に虚偽報告を行っていた」と安易に結論付けているが、明らかに一般常識及び経験則に反する不当な認定である。
原判決は、「虚偽報告」の解除事由該当性の判断において、控訴人明光らが実態と異なる生徒数を報告した始期について「平成22年1月から」と認定し、「虚偽の生徒数に基づいて明光義塾総会において3年連続で表彰された」との認定もしているが、実際は「平成27年10月から」であり、明光義塾総会での3年連続の表彰とは無関係であって(薬院本校教室が生徒数部門で表彰を受けたのは平成23年から平成25年である。)、この点でも杜撰な判断をしている。
すなわち、原判決は、アネムグループの内部資料として作成された本件直営教室人数表(甲85)をもとに、平成22年1月から実態と異なる生徒数の報告がされていたと認定している(なお、当該人数表においても、入金報告書記載の生徒数と大きな齟齬が生じているのは平成23年9月からであり(甲20)、この点は明白な誤りである。)が、上記人数表は、アネムグループが運営する塾全体の生徒数を把握するために作成された内部資料であり、「明光義塾」の生徒数を正確に集計したものではない。明光義塾とアネムグループが運営する他塾(EDINAやシェーン英会話など)を併用する生徒については、最初に入会した塾において計上し、その後に入会した塾においては計上しないこととしているため、他塾に入会後に明光義塾にも在籍することになった生徒は含まれておらず、実際の明光義塾の生徒数よりも少なく計上されているのである。上記人数表が明光義塾の生徒数を正確に反映したものではないことは、最も基礎的な資料である「生徒学費原簿一覧」(乙74)に記載の人数と大幅に異なっていることからも明らかであり、原判決はこの点も看過している。
ウ 信頼関係を破壊するような重大な契約違反でないこと
原判決は、生徒数の「虚偽報告」が被控訴人との信頼関係を破壊する重大な契約違反であるとしているが、誤った生徒数の報告による影響が小さいことや当事者が重要な契約違反とは認識していなかったこと等について実態に即した判断をせず、軽微な契約違反を過大に評価するものであり不当である。
⑶ 競業避止義務違反の有無について
ア Vスタで個別指導を行った事実がないこと
原判決は、過去、Vスタを紹介するウェブページ(甲95)に「個別指導」の記載があったことのみをもって、実際に行っていない指導方法を誤って掲載するとは考え難いとして、少なくとも過去の一時期において、個別指導を含む学習指導を行っていたと認定し、本件契約の解除事由である競業避止義務違反及び被控訴人に対する背信行為に該当すると判断した。
しかし、当該「個別指導」との記載は誤記であり、Vスタにおいて、個別指導が行われたことは過去一度もない。このことは、ウェブページに「個別指導」の記載があった当時のVスタの料金表に個別指導の料金設定がないこと(乙14)、入会案内(乙77)、テレビCM(乙78)及びテレビ取材(乙79)においても個別指導を行っている旨の説明をしていないことから明らかである。
また、原判決が認定の根拠とする、Vスタの教育内容を紹介するウェブページ(甲95)でも、「Vスタの学習システム」(4~8頁)において、算数や国語の「個別指導」(9頁)に関する説明は一切ないことからも、「個別指導」(9頁)の記載が「小グループ」の誤りであったことが分かる。
イ Vスタは競業避止義務の対象ではないこと
本件契約第26条5項は、控訴人明光らが間接に経営するものとみなす場合として、「乙(判決注:控訴人明光ネットワーク)もしくは丙(判決注:控訴人明光九州)の代表者の親族・知人、または乙もしくは丙が出資関係にある法人」が個別指導の学習塾を開設または経営する場合と定めているところ、Vアカデミーは、控訴人アネムの100%子会社であり、控訴人明光らと出資関係にはなく、また、控訴人明光らの代表者の親族・知人が開設・経営する法人でもない。
したがって、Vスタについて、控訴人明光らが間接に経営するものであると判断した原判決は、契約の解釈適用を誤っており、不当である。
⑷ 家庭教師事業による本件契約違反の有無
原判決は、本件契約の全ての条項に照らし、「明光義塾」に係る商標等を使用して学習塾以外の事業を行うことが許容されていると認めることはできないとして、控訴人明光九州が行っている本件家庭教師事業は本件契約第4条に違反すると判断した。
しかし、控訴人明光九州が行う家庭教師による指導は、明光義塾の学習システムをそのまま家庭や教室で受講でき、しかも常に1対1での指導が受けられるようにした個別指導システムである(乙16~18)。したがって、控訴人明光九州が行う家庭教師による指導は、指導を受けられる場所として家庭を選択できるという点以外に教室での個別指導と違いはなく、本件契約に違反するものではない。
原判決自体、控訴人明光九州が、平成13年頃から、「明光義塾」の名称及び「明光義塾」に係る商標を使用して家庭教師による学習指導を行っていたことを認定しており、仮に、被控訴人が本件家庭教師事業を問題視するのであれば、平成26年に本件契約を締結するにあたり、控訴人明光九州に対しその旨を指摘し、本件契約において学習塾以外の事業を禁止する旨の規定を設ける等の対応をするのが自然であるが、被控訴人は何らそうした対応をとっておらず、被控訴人が本件家庭教師事業は本件契約に反しないと解していたことは明白である。
⑸ 支援システム費の不正使用の有無について
ア 総論
原判決は、支援システム費は、「明光義塾全体の発展と相互利益確保」に反しない限り、様々な使途のために活用されることが許容されていたと正しく認定しているのであるから、控訴人明光ネットワークが支援システム費を教室運営管理システムの開発費用に充てたことが「明光義塾全体の発展と相互利益確保」に反するのか否かを判断すれば足りるところ、控訴人明光九州が支援システム費を負担していないことをもって「支援システム費は、本件各フランチャイジーのみに負担が課されるとの点で不公平なものである」と断定し、かつ、生徒一人当たり実費月1200円という額の水準が「本件各フランチャイジーに大きな負担を課すものといえる」と認定した上で、基準らしきものを提示している。
しかし、控訴人明光九州が支援システム費を負担しないことは、前記のとおり、控訴人明光九州における、控訴人明光ネットワークとの関係性、他の本件各フランチャイジーとの性格の違い等に鑑みれば、特段異とされるものではない。不公平なものであるとか、金額の多寡であるといったことは、支援システム費の制度自体に対する非難にすぎないのであり、「支援システム費の不正使用」が、支援システム費の徴収自体を問題にするのではなく、その使途を問題にするものであることからすれば、論理的にも「明光義塾全体の発展と相互利益確保」に反するか否かの判断の基準を導く根拠になり得るものではない。
原判決が提示している「基準らしきもの」は、「本件各フランチャイジーにおいて、自身が拠出した支援システム費を原資として開発された教室運営管理システムを使用できるとの利益があったとしても、本件各フランチャイジーの負担において控訴人らが不相当な利益を得て、その結果、被控訴人や他のフランチャイジーの利益を害することとなるような態様で支援システム費を利用することは、『明光義塾全体の発展と相互利益確保』に反するものと解される。」というものであるが、「自身が拠出した」、「本件各フランチャイジーの負担において」との部分は、当然のことでわざわざ掲げるまでもないことであるばかりでなく、控訴人明光九州との不公平性を強調する趣旨であれば不当なものであり、「控訴人らが不相当な利益を得て」との部分は、控訴人明光らにとどまらず控訴人ら全体の利益まで拡張して考慮している点、控訴人明光九州との不公平性を強調する趣旨であると考えられる点などにおいて、極めて問題の多いものである。
イ 控訴人らが不相当な利益を得る態様で支援システム費を利用した事実はないこと
控訴人明光九州が支援システム費を負担することなく教室運営管理システムを利用できたことを、控訴人らの不相当な利益として挙げることはできない。控訴人明光九州が利用できるシステムの開発に支援システム費を利用すれば、控訴人明光九州を含む控訴人らの不相当な利益になるというのが不当であるのは明らかである。
なお、控訴人明光九州は、「支援システム費」の名目では費用を負担していないが、毎月570万円の「管理分担金」を負担している(乙96、97の3、98、99の3、102、103)、この管理分担金から、明光義塾の広告宣伝費や本件各フランチャイジーが使用する教室運営システムの開発費用も支出されているのであり、控訴人明光九州は他の本件各フランチャイジーと同様に、システム開発費用を負担している。
また、e-siaを含む控訴人らが教室運営管理システムを自由に他社に販売して利益を得ることができたことを控訴人らの不相当な利益として掲げることも不当である。支援システム費を正当に利用したかという問題と利用して出来上がったシステムを転売することが正当かという問題は、全く別個のものである。
ウ 被控訴人や他のフランチャイジーの利益を害することとなるような態様で支援システム費を利用した事実はないこと
原判決は、e-siaが開発した教室運営管理システムを他塾へ販売することは、日本全国において明光義塾のフランチャイズチェーンを展開する被控訴人の利益を害し、また、本件各フランチャイジーは、自身に利用価値のない機能を有するシステムの開発のためにも支援システム費の拠出を強いられ、その利益を害されたと判断した。
しかし、第1に、本件個別契約11条4項は、「丙(判決注:控訴人明光九州)の管轄する明光義塾全体の発展と相互利益確保のため」と規定しており、支援システム費の目的・使途において被控訴人の利益は直接問題にならず、被控訴人の利益を害するか否かを含めて判断するのは誤りである。
また、第2に、支援システム費から本件教室運営管理システムの開発費用にいくら拠出されたのかの特定もできないにもかかわらず、本件各フランチャイジーが、「自身の利用価値のない機能を有するシステムの開発のためにも支援システム費の拠出を強いられていた」との認定には無理がある。支援システム費からシステム開発費用に拠出したと考えても、その費用は、システム開発費用全体からすると微々たるものであり(甲57、乙10の1・2)、むしろ本件各フランチャイジーは、わずかな負担で、アネムグループの莫大な負担において開発された新システムを利用することで、利益を得ている。なお、e-siaを含むアネムグループによる本件教室管理運営システムの外販先は、専ら控訴人明光ネットワークの管轄地域外の塾であり、かつ、個別指導塾は含まれておらず、本件地域のフランチャイジーの競合になり得る塾には外販していないのであり(乙12)、この点においても本件各フランチャイジーの利益が損なわれた事実はない。
⑹ 守秘義務違反の有無
原判決は、控訴人明光ネットワークが本件各フランチャイジーに対し、被控訴人がコンピュータ使用料の半額238円を収受している事実を開示したことに関して、本件各フランチャイジーが被控訴人の提供する教室管理運営システムを使用していないのに、被控訴人がコンピュータ使用料を徴収していることを周知することで、「控訴人明光ネットワークに対する批判を回避する意図に基づくものであった」と評価し、本件契約の解除事由に該当すると判断した。原判決は、この評価の前提として、「控訴人明光ネットワークは、支援システム費の撤廃を求める本件各フランチャイジーに対し、支援システム費の使途やこれを撤廃した場合の弊害を説明したものであるが、その際に、本件分担割合を開示する必要性があったとはいえない」との判断をしているが、前提事実に誤りがある。
控訴人明光ネットワークは、本件各フランチャイジーから支援システム費の撤廃やVゼミ基本料の半減、各コンテンツ視聴料の減額など様々な要求を受けたのに対し(甲7、8)、支援システム費やVゼミ基本料の減額(甲14)、緊急支援金の実施(甲38)などの改善案を提示する中で、被控訴人に対してコンピュータ使用料の減額を求めることを選択肢として提示したものである(甲14)。被控訴人がコンピュータ使用料の減額を承諾した場合、本件各フランチャイジーにおいていくらの経費削減となるかを説明するために、本件分担割合を開示したものであり、必要性がないとはいえない。
控訴人明光ネットワークは、本件分担割合が守秘義務の対象であることを意識しないまま誤って言及したものであり、被控訴人の指摘を受けて、直ちに守秘義務違反行為であると認め、今後同様のことがないよう改める旨を謝罪しており(甲46、50)、本件分担割合について、控訴人明光ネットワークに対する批判を回避する意図で開示したものでないことは明らかである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、被控訴人の本訴請求は、前記第2の4⑴ないし⑺の限度で理由があるからこの限度で認容し(ただし、後記2⑶による補正のとおり、商号の使用差止め等の請求(前記第2の2⑵ア、イ)は、会社法8条に基づく請求として認める。)、その余は理由がないからいずれも棄却すべきであり、控訴人明光らの反訴請求はいずれも理由がないから棄却すべきであると判断する。その理由は、後記2のとおり補正し、後記3のとおり当審における控訴人らの補充主張に対する判断を付加するほか、原判決第3(19頁15行目から90頁7行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 原判決の補正
⑴ 原判決32頁4行目から5行目にかけて、13行目、18行目、20行目、24行目から25行目にかけての「追加授業料、講習費等」(争点1(解除事由1 ロイヤルティの過少申告及び未払の有無)に関する判断のうち、「⑵ロイヤルティの過少申告の有無」の中の記載)をいずれも「増加授業料、講習料等」に、原判決33頁4行目、16行目から17行目にかけての「講習費」(上記と同じ項目の中の記載)をいずれも「講習料」に改める。
⑵ 原判決45頁5行目から6行目にかけての「平成22年1月から令和2年10月までの間」(争点2(解除事由2 生徒数の水増しの有無)に関する判断のうち、「⑶ 解除事由該当性」の中の記載)を「平成23年9月から令和2年10月までの間」に改める。
⑶ 原判決68頁8行目の「教室管理運営システム」(争点12(解除事由12被告明光ネットワークによる守秘義務違反の有無)に関する判断の中の記載)を「教室運営管理システム」と改める。
⑷ 原判決73頁8行目から同頁14行目まで(争点17(控訴人各標章の使用差止等の可否)に関する判断のうち、「⑴ 控訴人明光らに対する控訴人各標章の使用差止等の可否」の第2段落)を次のとおり改める。
「また、被控訴人の控訴人らに対する控訴人各標章の使用の差止め及び廃棄請求のうち、原判決別紙Webページ目録記載のインターネット上のウェブサイトその他の営業表示物件からの抹消請求について検討すると、被控訴人は、控訴人らに対し、『学習塾の運営、フランチャイズ方式による学習塾の加盟店の募集、設立の指導及び助言、又は当該加盟店の経営の指導及び助言に関する役務に関する営業上の施設、活動、販促物、広告、価格表又は取引書類・・・を内容とする情報に上記各標章(控訴人各標章)を付して電磁的方法により提供』することの差止めを求めている(請求の趣旨第5項〔原判決第1の1⑸〕)。そして、控訴人らが原判決別紙Webページ目録記載のインターネット上のウェブサイトにおいて控訴人各標章を使用するとすれば、学習塾(明光義塾)の運営、フランチャイズ方式による学習塾の加盟店の募集、設立の指導及び助言、又は当該加盟店の経営の指導及び助言に関する役務に関する営業上の販促物、広告、価格表又は取引書類を内容とする情報に関して用いられると推認されるから、原判決別紙Webページ目録記載のインターネット上のウェブサイトその他の営業表示物件からの控訴人各標章の抹消請求も、商標法36条2項にいう『侵害の予防に必要な行為』の請求として認めることができる。」
⑸ 原判決75頁6行目から同頁20行目まで(争点18(控訴人明光らによる商号の使用差止等の可否)に関する判断の全体)を次のとおり改める。
「会社法8条1項は、不正の目的をもって他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用することを禁じているところ、この『不正の目的』は、他の会社の営業と誤認させる目的、他の会社と不正に競争する目的、他の会社を害する目的など、特定の目的に限定されるものではないが、不正な活動を行う積極的な意思を有することを要するものと解するのが相当である。
控訴人明光ネットワークは、平成3年4月25日に設立された会社であり、設立時の商号は『株式会社コイカワネットワークサービス』であったが、平成5年8月31日に現在の商号である『株式会社明光ネットワーク九州』に商号変更され、その旨の商号変更登記がされた。また、控訴人明光九州は、平成3年4月23日に設立された会社であり、設立時の商号は『株式会社明光ネットワーク九州』であったが、平成5年8月31日に現在の商号である『株式会社明光義塾九州』に商号変更され、その旨の商号変更登記がされた。(以上、前提事実⑶ア、弁論の全趣旨)
控訴人明光らは、設立後、本件契約に先立つ契約として、被控訴人との間で、明光義塾のエリアフランチャイズ権又はフランチャイズ権の付与を受ける契約を締結した。(前提事実⑶ア)
上記のとおり、控訴人明光らが、被控訴人との契約関係に基づき、明光義塾のエリアフランチャイザー又はフランチャイジーとしての事業を行ってきた会社であることからすれば、被控訴人は、控訴人明光らが、被控訴人との契約に基づき、明光義塾に係る事業を行う権原を与えられている限りにおいて、控訴人明光らが『明光ネットワーク』又は『明光義塾』の文字を含む商号を使用することを容認していたものであり、控訴人明光らはそのことを認識していたと認めるのが相当である。
本件契約4条は、被控訴人が、控訴人明光らに対し、本件契約を遵守することを条件として、明光義塾のエリアフランチャイズ権又はフランチャイズ権を行使するために、『明光義塾』の名称、被控訴人がその権利を有する商標、サービスマーク、ロゴ、その他『明光義塾』の象徴となるものを使用することを許諾するとの内容である。同条の規定に商号の使用許諾は含まれていないが、同条の趣旨に照らせば、控訴人明光らが『明光義塾』の名称など『明光義塾』の象徴となるものを使用することは、本件契約に基づき、明光義塾のエリアフランチャイズ権又はフランチャイズ権を行使するためのものとして、被控訴人により許諾されていたのであり、この点からしても、控訴人明光らは、『明光ネットワーク』又は『明光義塾』の文字を含む商号についても、被控訴人との契約に基づき明光義塾に係る事業を行うことの権原を有する限度において、当該商号の使用をすることができると認識していたものと認められる。
そして、控訴人明光らには本件契約に基づく義務に対する違反がそれぞれ複数認められ、フランチャイジーの中核的義務であるロイヤルティ支払義務に係る過少申告及び未払、学習塾において重要な情報である生徒数の虚偽報告及び本件契約上認められない本件家庭教師事業の実施に及んでいたものであって、これらの事実は、いずれも本件契約における重大な義務違反に該当する。さらに、控訴人明光らは、映像授業及び自習型講座に係る対価がロイヤルティ算定の対象であることを認識した上でこれを意図的にロイヤルティ算定の対象から除外してロイヤルティ算定の対象となる売上げを過少申告し、意図的に生徒数の虚偽報告を行っており、少なくともこれらについては、本件契約に基づく義務に対する違反となることを認識しつつ義務違反に及んでいたものと認められる。上記の義務違反は、いずれも被控訴人に対する重大な背信行為であって、信頼関係を著しく破壊するものであり、本件契約は本件解除により終了した。
このようにして、本件契約は本件解除により終了し、被控訴人と控訴人明光らとの間の契約関係はなくなったにもかかわらず、控訴人明光らは、本件解除後も、『明光ネットワーク』又は『明光義塾』の文字を含む商号の使用を継続し、控訴人明光九州は明光義塾の運営を続けて収入を得ており、控訴人明光ネットワークも明光義塾に関する業務を行っている(前提事実⑺イ)から、控訴人明光らは、本件解除後において、不正な活動を行う積極的な意思を有するものと認められ、不正の目的をもって他の会社であると誤認されるおそれのある商号である『株式会社明光ネットワーク九州』又は『株式会社明光義塾九州』を使用しているものと認められる。
以上によれば、被控訴人は、会社法8条2項に基づき、控訴人明光らに対し、上記各商号の使用の差止を請求することができるとともに、従前の商号から現商号への商号変更に係る商号変更登記の抹消登記手続請求をすることができる。また、上記のとおり、『株式会社明光ネットワーク九州』が他の会社であると誤認されるおそれのある商号であることから、被控訴人は、控訴人明光九州に対し、控訴人明光九州の設立登記中『株式会社明光ネットワーク九州』の商号の抹消登記手続も請求することができる。」
⑹ 原判決78頁10行目(争点21(ロイヤルティ支払債務の存否)についての判断のうち、「⑶ 不法行為の成否」の中の記載)の「その役員構成は被告明光ネットワークと同じであること、」を「その代表取締役は被告明光らと同じくAであること、」に改める。
⑺ 原判決87頁16行目から17行目にかけて(争点22(競業避止義務違反及び商標権侵害による損害の発生及びその額)についての判断のうち、「⑵控訴人明光ネットワーク及び控訴人アネムに対する損害賠償請求」の中の記載)の「代表取締役も同一人物で、役員も共通しており、」を「代表取締役も同一人物であり、」に改める。
3 当審における控訴人らの補充主張に対する判断
⑴ ロイヤルティの過少申告及び未払の有無について
ア 控訴人らは、前記第2の7⑴ア、イのとおり、映像授業及び自習型講座については、被控訴人からの情報提供及び経営指導のない形態の授業であるから、これらの係る対価はロイヤルティ算定の対象となる「月謝、増加授業料、講習料等」(本件契約第16条)に当たらないと主張する。
しかし、本件契約において、ロイヤルティは、フランチャイジー及び控訴人明光九州が支払うフランチャイズ権の対価であり(本件契約第16条)、フランチャイズ権は「明光義塾」の名称を使用して学習塾を経営する権利とされている(同第2条⑶)。映像授業及び自習型講座も、控訴人明光九州が経営する明光義塾の教室で提供されたものであり、学習指導が行われる授業ないし講座である(原判決第3の2⑴オ、カ、⑵イ、弁論の全趣旨)。そうすると、映像授業及び自習型講座の対価は、本件契約第16条の「月謝、増加授業料、講習料等」に当たり、ロイヤルティ算定の対象となると解される。仮に、映像授業及び自習型講座について、被控訴人から控訴人明光らに対する情報提供及び経営指導がなかったとしても、本件契約第16条に関する上記解釈は変わらないというべきである。
控訴人らが主張する、本件契約締結に至る経緯や、控訴人明光ネットワークがフランチャイジーから徴収したロイヤルティのうち被控訴人に支払う割合に係る事実(前記第2の7⑴イ(イ))は、被控訴人による情報提供及び経営指導があった授業等に限り本件契約第16条に基づくロイヤルティの算定の対象となると解すべき根拠とはならない。
また、被控訴人の映像授業導入に際し、控訴人明光らが映像授業のノウハウを提供したとの事実があったとしても、控訴人明光九州が行った映像授業及び自習型講座が、本件契約第16条に基づくロイヤルティ算定の対象とならないと解することはできず、被控訴人が、控訴人明光九州の行う映像授業及び自習型講座がロイヤルティ算定の対象とならないと認識していたと認定することもできない。
さらに、被控訴人が、令和2年2月、増加授業料を「映像授業等、自教室内で行う一切の授業の対価を含む」ものとした本件改定案を示した後も、控訴人明光らに対し、映像授業及び自習型講座のロイヤルティの未払分の履行の催告や、未払であることの警告を直ちにしておらず、本件解除通知でも13の解除事由の末尾に置かれていたにすぎないとしても、同年12月15日付けの本件解除通知において解除事由として挙げたことに変わりはなく、被控訴人が、映像授業及び自習型講座はロイヤルティ算定の対象となると認識していなかったと認定することはできず、映像授業及び自習型講座がロイヤルティ算定の対象とならないと解することもできない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
イ 控訴人らは、前記第2の7⑴ウのとおり、ロイヤルティ未払について控訴人らに悪意がなかったと主張する。
しかし、控訴人明光らが、平成27年ころ、それまでは映像授業及び自習型講座の対価をロイヤルティ算定の対象としていたにもかかわらず、これをロイヤルティ算定の対象とならないその他の売上げに計上するようにしたこと、その他ロイヤルティに関連する原判決第3の2⑴の認定事実に照らし、控訴人明光らが、映像授業及び自習型講座の対価がロイヤルティ算定の対象となると認識しながら、これらをロイヤルティ算定の対象とせずに、ロイヤルティを算定して支払っていたと認められることは、原判決第3の2⑵オの説示のとおりであり、控訴人らが前記第2の7⑴ウにおいて主張する内容は上記認定を左右しない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
⑵ 生徒数の虚偽申告の有無について
ア 控訴人らは、前記第2の7⑵ア及びイのとおり、控訴人明光らが実際の生徒数より多くの生徒数を報告していたのは、集計ミスによるものであり、意図的に虚偽申告をしたのではない、生徒数の報告に関する原判決の事実認定には多くの誤りがある、などと主張する。
しかし、上記生徒数の報告が集計ミスであるとの主張は、原審段階における主張の繰り返しであるところ、原判決第3の3⑴の認定事実によれば、控訴人明光らは、長期間にわたって実際の生徒数より多くの生徒数を被控訴人に報告していたのであり、これが集計ミスによるものであることを根拠付ける客観的事情は認められない。また、仮に、控訴人明光らが実際の生徒数より多い生徒数を報告した行為が、経費処理の煩雑さを回避するために便宜上したものであったとしても、これにより虚偽報告が正当化されないことは、原判決第3の3⑶の説示のとおりである。
そして、控訴人明光九州が運営する薬院本校につき、実際の生徒数より多くの生徒数が報告されたことにより、薬院本校は、平成23年度から平成25年度の3年間、在籍数1位で最優秀教室賞を受賞しており、その間において、実際の生徒数よりも多くの生徒数を報告する行為を続けていたこと、控訴人らを含むアネムグループは、上記の時期において、e-siaにおいて開発した教育運営管理システムを他の塾に販売していたこと(原判決第3の6⑴エ(イ)、(ウ))などの事実に照らせば、控訴人らが、虚偽の生徒数に基づいた表彰により薬院本校の知名度を上げ、その結果として、教室運営管理システムの販売に関して間接的な宣伝効果を享受していたものといえるのであり、控訴人らの虚偽報告が長期にわたり継続したことなどの行為態様に加え、上記事情も考慮すれば、薬院本校の生徒数に係る虚偽報告が意図的かつ組織的に行われていたものと認定することができ、この点に関する原判決の認定に誤りがあるとは解されない。
本件直営教室人数表(甲85)が、明光義塾の塾生の生徒数を正確に集計したものではないとの主張については、控訴人らが、本件直営教室人数表につき、明光義塾とアネムグループが運営する他の塾を併用する生徒は、最初に入会した塾において計上し、後に入会した塾において計上しないとの取扱いをしていることを裏付ける客観的資料が存在しない上、控訴人明光らは、本件仮処分事件申立事件において、本件直営教室人数表につき、控訴人アネム内において各部門の数値の速報値を確認することを目的に作成された資料であり、運営上利用しやすいように集計されている旨主張していて(甲153)、本件訴訟の当審における主張と内容の異なる主張をしていたことも考慮すれば、本件直営教室人数表が明光義塾の塾生の生徒数を正確に集計したものでないとは認められない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
イ 控訴人らは、前記第2の7⑵ウのとおり、生徒数の虚偽報告が信頼関係を破壊する重大な契約違反に当たらないと主張する。
しかし、原判決第3の3⑴の認定事実に照らし、生徒数の虚偽報告は、長期間にわたって控訴人明光らが意図的に継続していたものであって、被控訴人と控訴人明光らとの信頼関係を破壊するものに当たり、本件契約第43条1号、3号及び5号の解除事由に該当すると判断されることは、原判決第3の3⑶のとおりである。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
⑶ 競業避止義務違反の有無について
ア 控訴人らは、前記第2の7⑶アのとおり、Vスタにおいて個別指導を行った事実はないと主張する。
しかし、学習塾の紹介を内容とするウェブページにおいて、最も重要な情報の一つと考えられる学習指導の方法につき、実際に行っていない指導方法を誤って掲載するとは考え難く、Vスタのウェブページに存在した個別指導を行っている旨の記載が誤記であると認められないことは、原判決第3の4⑵のとおりであり、控訴人らの上記主張は採用することができない。
イ 控訴人らは、前記第2の7⑶イのとおり、Vスタについて、控訴人明光らが間接に経営するものであると原判決が判断したのは誤りであると主張する。
この点、本件契約第26条1項は、直接又は間接を問わず本件契約継続中は個別指導の学習塾を開設及び運営してはならない旨定め、同条5項は、控訴人明光らの代表者の親族、知人、控訴人明光らと資本関係にある法人が個別指導の学習塾を開設又は経営する行為も、控訴人明光らが間接に経営する場合とみなすとして、同条違反となる旨定めている。しかし、同項は、あくまで同条1項にいう「間接」に経営する場合とみなされる行為を規定したにすぎず、同条1項にいう「間接」に経営する場合に当たるものが本件契約第26条5項に挙げられたものに限定されるとは解されない。
Vアカデミーは、控訴人明光らと同じく、控訴人アネムがその親会社であり、かつ、控訴人ら及びVアカデミーのいずれについてもAが代表取締役を務めている。これらの事実によれば、VアカデミーがVスタを運営しているとしても、本件契約第26条5項に列挙された場合と同様に、控訴人らとの関係では、個別指導の学習塾を間接的に開設・運営する場合に該当し、同条1項に違反すると認めることができる。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
⑷ 家庭教師事業による本件契約違反の有無について
控訴人らは、前記第2の7⑷のとおり、控訴人明光九州が行った家庭教師事業は、本件契約第4条に違反するものではなく、被控訴人もそのように認識していたと主張する。
しかし、本件契約及び本件個別契約(被控訴人及び控訴人明光ネットワークが、控訴人明光九州を除く本件地域のフランチャイジー(本件各フランチャイジー)との間で締結していた、原判決別紙「本件個別契約の定め」に記載された内容を含む個別フランチャイズ契約)上、フランチャイジーに付与されるフランチャイズ権は、明光義塾の教室を開設、経営する権利であり(本件契約書第3条、本件個別契約第1条)、控訴人明光九州を含むフランチャイジーは、フランチャイズ権を行使するために、「明光義塾」の名称、被控訴人が権利を有する商標、サービスマーク、ロゴ、その他「明光義塾」の象徴となるものを使用することを許諾されているものである(本件契約第4条、本件個別契約第2条)。そして、本件契約第2条6号によれば、「教室」とは被控訴人が承認した場所において、フランチャイジー及び控訴人明光九州が経営する学習塾をいうとされている。そうすると、控訴人明光九州が本件契約及び本件個別契約に基づいて明光義塾の名称、商標等を用いることができるのは、被控訴人が承認した場所において行う明光義塾の教室の開設、経営に関してのみであり、これを家庭教師事業に用いることは許されていないと解される。
控訴人らは、控訴人明光九州が行う家庭教師による指導は、教室での個別指導と違いがないから、本件契約に反しないと主張するが、本件契約及び本件個別契約の上記各規定の内容に照らして採用できない。
また、被控訴人が、本件契約の締結時点において、控訴人明光九州が家庭教師事業を行っていたことを認識していたと認めるに足りる証拠はない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
⑸ 支援システム費の不正使用の有無について
ア 控訴人らは、前記第2の7⑸ア、イのとおり、控訴人明光九州が支援システム費を負担していないことをもって、控訴人らが不相当な利益を得たとはいえず、控訴人明光ネットワークが支援システム費を教室運営管理システムの開発費用に充てたことが「明光義塾全体の発展と相互利益確保」(本件個別契約第11条4項)に反するともいえない旨主張する。
しかし、本件各フランチャイジーが生徒一人当たり月額1200円の支援システム費を負担する一方、控訴人明光九州が支援システム費を負担しないことは、本件各フランチャイジーと控訴人明光九州との間において極めて不公平な取扱いをしたものといえる。そして、本件各フランチャイジーから徴収した支援システム費が教室運営管理システムの開発費用に充てられ、支援システム費を負担しない控訴人明光九州が当該管理システムを利用することが可能となり、かつ、e-siaを含む控訴人らが当該管理システムを他社に販売して利益を得ることが可能となったと認められるのであり、このような事実関係に照らせば、控訴人明光ネットワークが支援システム費を教室運営管理システムの開発費用に充てたことは、「明光義塾全体の発展と相互利益確保のために活用」(本件個別契約第11条4項)するものに当たらないと解され、この点に関する原判決の判断に誤りはない。この判断において、本件各フランチャイジーは支援システム費を負担し、控訴人明光九州は支援システム費を負担しないとの不公平な取扱いがされていたことを考慮することが不当であるとは解されない。
控訴人明光九州が管理分担金を支払い、この管理分担金が教室運営管理システムの開発費用に充てられたと認めるに足りる客観的証拠はない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
イ 控訴人らは、前記第2の7⑸ウのとおり、控訴人らが、被控訴人や本件各フランチャイジーの利益を害するような態様で支援システム費を利用した事実はないと主張する。
しかし、控訴人らが開発した教室運営管理システムは、明光義塾の教室でも用いられていたものではあるが、明光義塾の運営管理とは関係のない英会話教室、幼児教育なども対象とした汎用性の高い教室運営管理システムであり、本件各フランチャイジーに対しては、これを明光義塾用にカスタマイズされたものが提供されていたのであって(原判決第3の6⑴エ(ア)、(イ))、明光義塾の教室の運営管理には不要な機能が付されていたものと認められ、本件各フランチャイジーは、自身に利用価値のない機能を有するシステムの開発のためにも支援システム費の拠出を強いられたといえるのであって、前記アに挙げた事情に加え、上記の点からしても、本件各フランチャイジーの利益が害されたことが認められる。
明光義塾のフランチャイジーから徴収した支援システム費を用いて開発した教室運営管理システムを、明光義塾以外の塾に販売することは、全国において明光義塾のフランチャイズチェーンを展開する被控訴人の利益を害するといえ、この点を「明光義塾全体の発展と相互利益確保のために活用」するものに当たるか否かの判断において考慮することが不相当であるとは解されない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
⑹ 守秘義務違反の有無について
控訴人らは、前記第2の7⑹のとおり、控訴人明光ネットワークが本件各フランチャイジーに対し、被控訴人がコンピュータ使用料の半額238円を収受している事実を開示したことについて、本件各フランチャイジーから支援システム費の撤廃やVゼミ基本料の半減、各コンテンツ視聴料の減額など様々な要求を受けたのに対する改善案を提示する中で、被控訴人に対してコンピュータ使用料の減額を求めることを選択肢として提示し、その際に、被控訴人が上記減額を承諾した場合の本件各フランチャイジーの経費削減の程度を説明するために、被控訴人と控訴人明光ネットワークのコンピュータ使用料の収受金額(本件分担割合)を開示したものであり、必要性がないとはいえず、控訴人明光ネットワークは、本件分担割合が守秘義務の対象であることを意識せずに誤って上記開示をしたものであると主張する。
しかし、控訴人らの上記主張は、原審段階からの主張の繰り返しであるところ、控訴人明光ネットワークが本件各フランチャイジーに対する改善案の提示に際して本件分担割合を開示する必要性はなかったにもかかわらず、控訴人明光ネットワークは、本件各フランチャイジーに対し、繰り返し本件分担割合を開示したのであり、これは、本件各フランチャイジーが被控訴人の提供する教室運営管理システムを使用していないのに、被控訴人がコンピュータ使用料を徴収していることを周知することで、控訴人明光ネットワークに対する批判を回避する意図に基づくものであったと認められることは、原判決第3の13の判断のとおりであり、控訴人らの主張を検討しても、上記判断は左右されない。
したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。
4 その他、控訴人らが縷々主張する内容を検討しても、当審における上記認定判断(原判決引用部分を含む。)は左右されない。
5 結論
以上によれば、被控訴人の本訴請求は、前記第2の4⑴ないし⑺の限度で理由があるからこの限度で認容し、その余は理由がないからいずれも棄却すべきであり、控訴人明光らの反訴請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がない。
よって、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
(裁判長裁判官 中平健 裁判官 今井弘晃)
裁判官水野正則は、転補により署名押印することができない。裁判長裁判官 中平健
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