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更新日:13 時間前
原告
株式会社マーナ
同訴訟代理人弁護士
藤本英介
被告
株式会社グフォーロ(以下「被告会社」という。)
被告
Aⅰ(以下「被告個人」という。)
主文
1 被告らは、別紙被告商品目録記載の商品を販売し、販売のために展示し、又は所持してはならない。
2 被告らは、別紙被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。
3 被告らは、別紙被告商品目録記載の商品の販売に当たり、別紙広告媒体目録1記載の広告媒体その他のウェブサイト、チラシ、掲示物等の広告に、別紙被告標章目録の標章を使用してはならない。
4 被告らは、別紙被告商品目録記載の商品の販売のため、別紙広告媒体目録1⑴記載の掲示物を所持してはならない
5 被告らは、別紙広告媒体目録1⑴記載の掲示物を廃棄せよ。
6 被告らは、原告に対し、連帯して、200万円及びこれに対する令和8年1月28日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
7 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
8 訴訟費用は被告らの負担とする。
9 この判決は、第6項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 主文1項ないし6項と同旨
2 被告らは、別紙被告商品目録記載の商品の販売に当たり、別紙広告媒体目録2記載の広告媒体その他のウェブサイト、チラシ、掲示物等の広告及び別紙被告商品目録記載の商品の包装に「特許取得済」と表示してはならない。
第2 請求原因
別紙請求原因記載のとおり。なお、本件訴状送達日は、令和8年1月27日である。
第3 当裁判所の判断
1 被告らは、いずれも適式の呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め、これを自白したものとみなす。
2 商標権侵害について
⑴ 商標の類否判断の基準
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
⑵ 原告商標について
原告商標は、別紙原告商標権目録のとおりである。
⑶ 被告標章について
被告標章は、別紙被告標章目録のとおり標準的な文字で記載された「シュパットタイプ」との標章である。
⑷ 原告商標と被告標章の比較
ア 外観
原告商標と被告標章は、その外観において「シュパット」との標準的な文字が共通し、「タイプ」との記載で相違するところ、「タイプ」との記載は型を示す用語であり、特段の意味を有しないものであることからすると、外観において類似すると認められる。
イ 称呼
原告商標の称呼は「シュパット」であり、被告商標の称呼は「シュパットタイプ」であるから、両者は「タイプ」との音の有無で相違する。しかし、両者は、語頭における称呼を共通とするものであり、かつ、上記アのとおり、「タイプ」との記載は特段の意味を有しないことからすると、両者の称呼の共通性は、識別上、重要であると認められるから、称呼においても類似すると認められる。
ウ 観念
原告商標及び被告標章は、いずれも一種の造語であり、特定の観念を生じない。
エ 上記アないしウからすると、被告標章は、原告商標と外観及び称呼が類似し、特定の観念が生じないものであり、これに接した需要者は、原告商標と出所を誤認混同するおそれがあると認められる。
したがって、被告標章は、原告商標と類似する。
⑸ そして、自白したものとみなされる別紙請求原因4⑶のとおり、被告らは、被告標章を別紙広告媒体目録1⑴の各媒体に付し、また、同目録1⑵のYoutubeでの広告に付していると認められることからすれば、このような被告らの行為は原告商標権を侵害するものと認められる。
3 不正競争行為(商品等表示)について
⑴ 商品等表示該当性
ア 商品の形態は、本来的には、商品の技術的な機能及び効用の発揮や美観の向上等の見地から選択されるものであり、商品の出所を表示する目的を有するものではないが、特定の商品の形態が、他の同種の商品と識別し得る独自の特徴を有し、かつ、その形態が長期間継続的・独占的に使用され、又は短期間でも効果的な宣伝広告等がされた結果、特定の営業主体の商品であることの出所を示す出所識別機能を獲得するとともに、需要者の間に広く認識されることにより、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。そして、このような商品の形態は、不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号によって保護される他人の周知な商品等表示に該当するものと解される。そうすると、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し、同号所定の「商品等表示」に該当するためには、①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、②需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要するものと解すべきである。
イ 原告商品の形態は、自白したものとみなされる別紙請求原因5⑴のとおりであるところ、原告商品の販売開始時において、これらの特徴を有する同種商品が存在していたとは認められず、他の同種商品とは異なる顕著な特徴、すなわち特別顕著性を有するものであったと認められる。
そして、自白したものとみなされる別紙請求原因5⑶のとおり、原告は、原告商品の販売開始以降、広告宣伝を行い、その結果、多数の雑誌や新聞、テレビ番組において紹介されただけでなく、デザインに関する複数の賞を受賞していたなどの事情に照らすと、原告商品の形態は、遅くとも被告商品の販売開始時期である令和3年12月21日頃より前の時点で周知となっており、本件口頭弁論終結時(令和8年2月25日)においても、周知性を有していたものと認められる。
⑵ 被告商品の形態との類否
ア ある商品等表示が不競法2条1項1号の「類似」に該当するか否かは、取引の実情の下において、取引者又は需要者が、両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準に判断するのが相当である(最高裁昭和57年(オ)第658号同58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁、最高裁昭和56年(オ)第1166号同59年5月29日第三小法廷判決・民集38巻7号920頁参照)。
イ 被告商品形態は、自白したものとみなされる別紙請求原因5⑸のとおりであり、原告商品形態と類似する。
⑶ そして、自白したものとみなされる別紙請求原因5⑺のとおり、被告らは、被告商品を販売し、販売のために展示し、継続的にインターネットで提示しており、被告商品をみた需要者において、被告商品の出所が原告商品と同一である、あるいはその営業につき主体が同一であると混同を生じるおそれがあると認められる。
4 不正競争行為(信用毀損行為)について
自白したものとみなされる別紙請求原因6のとおり、被告らは、原告商品と類似する被告商品を販売する際、被告標章を使用するとともに、被告らのいずれも保有していない特許に係る特許登録番号を被告商品のパッケージに付すとともに、Youtubeでの広告にも特許取得の事実を記載している。
このような被告らの表示は、被告商品が被告らの特許発明に係る実施品であるといった虚偽の事実を示すものであるとはいえるものの、当該表示は、事実に基づかずに被告商品の価値を高める性質のものとはなり得ても、そのことから直ちに原告商品の客観的価値を低下させるような性質のものということはできないから、当該表示をもって被告と競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布するものであると認めることはできない。
5 独占禁止法違反について
⑴ ぎまん的顧客誘引について
自白したものとみなされる別紙請求原因6のとおり、被告らは、原告商品と類似する被告商品を販売する際、被告標章を使用するとともに、被告らのいずれも保有していない特許に係る特許登録番号を被告商品のパッケージに付すとともに、Youtubeでの広告にも特許取得の事実を記載しているところ、このような表示は、実際の製品よりも被告製品が著しく優良又は有利であると誤認されるものであるといえるため、ぎまん的顧客誘引に該当すると認められる。
⑵ 差止の可否について
自白したものとみなされる別紙請求原因7⑵のとおり、被告らによる被告製品の販売等は原告商品の展示販売場所に近接した場所で行われているものであり、その際、自白したものとみなされる別紙請求原因6のとおり、原告商品の価格を例示し、被告商品の価格の比較優位を強調して需要者に訴えかける上記⑴のぎまん的顧客誘引が行われており、また、自白したものとみなされる別紙請求原因8によれば、被告商品は累計譲渡数3万個を下らない数が販売され、相当する原告商品の販売価格は1個2900円、利益率が75%を下らないことが認められるから、このような事情を考慮すると、上記⑴のぎまん的顧客誘引行為により原告には相応の損害が発生したと推認することができる。
もっとも、自白したものとみなされる別紙請求原因5⑶イのとおり、原告は、令和2年8月頃までには、累計販売数で700万個を突破する数の原告商品を販売しており、被告会社が設立される直前である令和3年にはその数が1000万個を突破しているというのであるから、被告による被告商品の販売が行われ、かつ、その累計譲渡数が3万個を下らないとしても、原告においてなお相当多数の原告商品を販売していることもまた推認することができるのであって、このような事情をも併せ考慮すれば、原告に著しい損害を生じ、又はそのおそれがあるとまでは認められないし、その他本件各証拠を踏まえても、原告に著しい損害を生じ、又はそのおそれがあると認めるべき事情は見当たらない。
6 損害について
自白したものとみなされる別紙請求原因8のとおり、被告商品の累計譲渡数は3万個を下らず、原告商品の限界利益が2175円を下らないことからすると、不正競争防止法5条1項によって推定される損害額は、6525万円を下らないと認められる。
そうすると、その余の損害について判断するまでもなく、原告の請求する損害額である200万円は相当因果関係のある損害として認められる。
第4 結論
よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部
(裁判長裁判官 澁谷勝海 裁判官 塚田久美子 裁判官 浅川浩輝)
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